延岡の百物語

其の四 「火葬場」





私は延岡出生ではありません、その所為に、火葬場がどこにあるのか知りませんでした。


趣味がお魚釣りですので、毎週日曜日は朝の1時半に家を出て、終夜営業している釣具店に行き、不足の道具や撒き餌と釣り餌とを用意して、川島のトンネルを越えて中間点にある公衆電話から浦城の瀬渡しの船頭に電話して船に乗り釣り場に行くのが普通の釣りの日の行動でした。
 


ある日、釣りも終わり、瀬渡し船の待合所での事です、船頭が「あなたはいつも同じところから電話をしているようだが、時間的に見て、まさかトンネルとトンネルの中間点から電話してないね」と尋ねるのです。
 

「はい、その通りです、よく分かったね」


「よく分かったも何も無いよ、アソコカラハ、アマリ」と言うのです。

「どうしてですか」と聞き返した僕に
 

「浦城に向かって、二つ目のトンネルがあるでしょう」
 

「はい」・・・
 

「あそこは少し浦城に向かって下っているでしょう」
 

「はい」・・・・
 

「私の友人の○○は、ブレーキも踏まないのに車は止まるし、坂を逆走させられて、引っ張られたそうですよ」


と、そしてそれを聞いていた、別の釣り客も

「そうそう、あそこでは三輪車に乗った男の子が夜中に現れるのだって」・・・・
 

「しまった、私は時々あそこで仮眠する事もあるのに」・・
 

まさか火葬場だって知っていればしませんよ。

知らない事は、時には安全なのかも知れない、知ってしまった今は決してあそこから電話はかけませんし仮眠も他の場所に移しました。
 

今は携帯と言う便利なものが出来ましたから。


でも十数年前はこの話、延岡では知らない人は居ないと言うぐらい有名なお話です。


[記事公開日]2010/12/22
[最終更新日]2020/07/02


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