延岡の百物語

其の一「ゆうれい ゆうれい」


この話は幽霊話というよりも、ちょっと奇妙な話という程度のものだとは思うんですが、「私が今でも住んでいる家」の話です、すべて「事実」です。
      
私が今の一軒家に引っ越してきた当初は気がつかなかったんですが、引っ越して3か月目くらいの時期にふと自分が寝ているベッド横の柱になにか引っかき傷のようなものがあるのに気づ来ました(現在はその柱の前にパソコンを設置しているので裏に隠れてしまって直接見ることはできませんが)。
        
気になったので「なんだろう」とよく読んでみると、幼児の手のひらくらいの大きさでひらがなで縦に二回「ゆうれい ゆうれい」と書いてあるのを発見しました。
     
「うっこれ何」と思いました。
      
でも、まあ、思いなおし、「これはきっと前の家族の子供が柱にいたずら書きでもしたんだろう」と解釈してその後は「そのこと」は忘れてしまいました。
      
ところがです。
     
それから約2年ほどして、夏の頃だったと思います。
     
ガス風呂の点火装置が壊れたので、大家さんに頼んで新しいもの(給湯器方式)に取り替えてもらったんですが、そのとき、工事にやってきた職人の方が、「電気を引きたいから、天井裏に登らせてほしい」と言ってきました。
      
それで、4畳半間の押し入れを開けて「この上です」と教えました。
      
そして隣の6畳間に引っ込んで本を読んでいると、押し入れの天井裏の入り口に首を突っ込んだその職人さんがいきなり「なんかえっ、こら? なんかえっ? なんかおる、なんかおる」と叫びました。
      
私はびっくりし、あわてて私も押し入れの天井裏に首を突っ込んだら、なんと天井裏の首を突っ込んだ目の前に「小さな神棚」があって、小さなとっくりのような器が2本、いくつかのお護り袋、そして10円とか5円とかの賽銭がおいてありました。
      
なんと私は引っ越してから約2年間、天井裏に神棚があることを知らずに過ごしてきたんです。
      
実はその2日前、ビデオ店(ホワイ●一ケ岡店)で『呪怨』という映画を借りてきて見たばかりだったので、びびりました。
      
ビデオ店が独自に「今日本で一番怖いビデオ これを見たら、あなたはもう二度と押し入れの天井裏を覗けない」とかなんとかキャッチ用の張り紙をパッケージにしてて、その「天井裏話」にすぐに連想がいったので、「いったい、これなんなの?」と思いました。
      
(私は基本的にホラー映画ファンなので、よく夜中にひとりで—-どのくらいびびらせてくれるか確認するために—-見ています。
      
ちなみに7月25日に新しいバージョンの『呪怨』がレンタル店に並びますね。)
     
職人さんが「なんかえっ、こら?」と言ったあの時、「おふだかなにか貼ってあるかな」と、思い切って神棚の扉を開けてみたんですが、なにも貼ってありませんでした。
      
たまたまお風呂が壊れなければ、私はずっと天井裏の神棚に気づかなかったわけで、引っ越してきてから、すでに5年目にはいりましたが、神棚は特に手もつけず、今も発見したときのまま、天井裏にあります。
     
私の家には薄緑色をしたヤモリが数匹いるようで、ときどき柱や床板の上をサササと徘徊します。
     
一度一匹とらえて殺してしまったんですが、人から「ヤモリ」はつまり「家の守」というくらいだから、「むしろ家を守ってるんだよ」などと聞かされ「ああ、殺さずにそのままほっておけばよかった」と後悔し、今はヤモリがカサカサと目の前を通りすぎることがあっても、しらんぷりをしております。
     
最近では聞きませんが、昔よく夜中の3、4時くらいになると(私は夜更かしをよくするので)きまって6畳間の天井裏をタカタカタカと円を描いて走る音が聞こえた時期がありました。

毎晩1回だけ、同じ位置からタカタカタカと始まり、同じ位置でぴたりと音が止まります。
     
でもこれはたぶん鳥が天井裏を走っているのだと解釈しています(実際そういう感じの足音なんです)。
    
実際私の家には鳥が巣をつくっているらしいので、そのせいだと解釈しています。
    
映画「呪怨」では天井裏に女の霊がいたんですが、私は見霊能力がないので、いても見えないでしょうし、単に「住環境の〈設定〉が怖い」というだけでして……。
     
おそらくかつてここで何事かあったにしろ、たぶん前の住人が御祓い等をして状況を変えた後だったと解釈しています。
     
それに私は「変わり者」でして、この話を人に語るとみな身震いしながら「そんな家はやく引っ越したら」と言うんですが、私はむしろ「なんて奇妙な家なんだ。おおいに気に入った」と思うようになり、「奇妙な家である」ことが理由で引っ越したいとはまったく思っていません。
      
基本的に建物自体は気に入っているので、このようにしてずっと住んでいるわけです。
     
誰にでも「ふと感じるちょっと変な体験」というものはきっとあるでしょうし、それに意識的になるかどうかで、感じ方も違ってくるんじゃないかと思います。
      
最近も「ほんとうにあった! 呪いのビデオ」シリーズを借りてきて夜中に見るんですが、画面中のどこに霊が写っているのか分からないことがよくあります。
      
ビデオの中でナレーターが「お分かりだろうか、うんぬん」と言って指摘してくれないとほとんど一度では見つけられません。
     
まあ、それくらい私は鈍感だということです。
      
柱のひっかき傷を撮った写真があるので、載せておきます。
      
「押し入れの天井裏の神棚の写真も撮ってみようかな」などと思ったこともあるんですが—-あれ以来一度も天井裏は覗いていませんし—-ほんとになにか映っていたら、いかなこれほど鈍感な私でも「住み心地が悪くなる」と思いましたので、「その案」はいまだに実行に移してはおりません。 


[記事公開日]2010/12/22
[最終更新日]2023/11/03


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